やにうさぎの雑記帳~140字じゃ語れない~

某呟きSNSには入りきらない思いやなんかを書いています。

有機反応を勉強するのに役立ちそうな書籍

前のエントリーでしょうもない記事を書いたので、少しは役立ちそうなことをメモがてらに残しておこうかと思います。

タイトル通り【有機反応を勉強するのに役立ちそうな書籍】を僕の経験を踏まえて何冊かご紹介します。

僕は出来損ないの学生です*1

僕が「有機化学でメシを食ってくんだ!」と決意したのは高専2年生*2。他の科目は出来が良くなかったのに、有機化学だけはクラスでも5本の指に入るくらい*3には得意だったので、それで勘違いしてしてしまって今に至る、ということです。

そんな『自称』有機化学が得意な僕も、大学に編入してからは「いくら得意でも勉強し直さんとダメだべね」ということで、それらしいテキストを何冊か手に取って勉強してみました。

有機化学は『お絵描き』の学問である*4

有機化学と言えば、お約束なのが「電子(対)の動きを曲がった矢印で表現することで結合の形成/切断を表現する」というやつです。

スイスイと矢印を描いていくには、どんな反応があるのかを知っていることが大切なので*5、その辺は手持ちのテキストに穴が開くくらい勉強しました。

この矢印を動かす勉強をする上で僕が使ったのはこの本。

有機合成反応 カルボニル基の化学 (プログラム学習シリーズ)

有機合成反応 カルボニル基の化学 (プログラム学習シリーズ)

Chemistry of the Carbonyl Group - Programmed Approach to Organic Reaction Method

Chemistry of the Carbonyl Group - Programmed Approach to Organic Reaction Method

カルボニル基の反応を実際に矢印を描きながら勉強し直すことで、いつの間にか自然と矢印を描いていけるようになりました。本自体も薄いので*6、その気になれば1週間くらいで一通りできます。テキストは『フレーム』に分けられていて、質問やコメント、ヒントが書かれていて、次のフレームには答えが書いてあるので、それを紙で隠しておきます。あとは、解く->次のフレームが見えるまで紙をずらすの繰り返し。プログラム学習シリーズの良いところです。各章の最初には問題を解くのに必要な概念と学習する内容が書いてあるので、何を理解すればいいのか、が分かるようになっています。とっても親切。

原書は英語ですが、決して難しくないので、英語の勉強がてらに原書にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。「カルボニル基の反応」をコンパクトに勉強できてしかも「矢印が描ける」ようになって更には「英語にも慣れる」ことができる一石三鳥なテキストだと思います。

「それくらい出来るわ! 」という方へ更にオススメを・・・

有機反応の矢印がある程度描けるようなってくると「見たこともない反応に対して合理的な機構を描く」ことにつまづくことがあります*7。そんな時には、この本をオススメします。

有機反応機構の書き方 基礎から有機金属反応まで

有機反応機構の書き方 基礎から有機金属反応まで

この本の一番のポイントは「自分の知識を使って、基本原理と反応機構のタイプに基づいて『合理的な機構を描く方法を勉強できる』こと」です。膨大な有機反応を反応機構の種類別に分けて、それをベースに置換、付加、脱離、ラジカル反応から遷移金属の絡む反応まで、様々な反応に対して合理的な機構を描けるようになりますよ。

院試向けのやつってないの?

はい。あります。僕が院試の時に使っていたのはこの本です。

演習有機反応 その解き方と考え方 (KS化学専門書)

演習有機反応 その解き方と考え方 (KS化学専門書)

有機電子論、反応論、合成など一通りカバーされているので、最後まで投げ出さずにやり抜くとすごく力が付きます。解答と解説もとても丁寧でわかりやすいのでオススメです。ただ「ウォーレンの薄い本」のように問題の次に解答が載っていて、ページによっては見えてしまいますので、実際に解く時には、問題文をコピーしたものをノートに貼っておくか、解答を紙で隠すといいと思います。

 

もっとガッツリ解きたいんだけど、というアナタには・・・

問答無用で、この本ですね。

演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで

演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで

通称「福山本」。『有機反応機構の書き方』とセットで買うと勉強する時に何かと便利ですよ。
難しい問題はかなり考えさせられるので「『全力で考えている』という刺激がほしい」という人にはぴったりです。ちなみに僕はある問題を解くのに丸二日考えてたことがありますw

 

ということで、有機反応を勉強するのに役立ちそうな書籍を順番に紹介してみました。

*1:高専時代、口の悪い某教員からは「ボロ雑巾」と呼ばれていた

*2:テキストはハートの基礎有機化学を使っていた

*3:有機化学だけでみると3年生の終わりくらいにはトップになっていた

*4:学部時代の集中講義「有機合成化学」の講義をされた先生の印象的だった言葉。

*5:反応は文法と同じ、とこの本には書いてあります。言いえて妙。

[asin:4621082876:detail]

*6:「ウォーレンの薄い本」と呼んでました

*7:僕は盛大につまづきました。