やにうさぎの雑記帳~140字じゃ語れない~

某呟きSNSには入りきらない思いやなんかを書いています。

【備忘録】7/23雑誌会で取り上げられた論文【あとで追記するかも】

7/23のゼミ(雑誌会)で取り上げられた論文
※備忘録なのでとっ散らかってるし、追記もします。

RCS Adv. 2016, 6, 6997-7001.

pubs.rsc.org

硝酸イオンだけを選択的にセンシングして、凝集誘起発光(Aggregation-Induced Emission; AIE)挙動を示す水溶性アントラセン誘導体のお話。

p-アントラニルビニレン誘導体はAIE挙動を示すことが知られているということで、アントラセンを主骨格にして分子を設計。

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ピリジニウム部位は水溶性を稼ぐのに使っていて、ピリジン窒素に刺さったアルキル基は疎水性相互作用による凝集を狙ったとか。
検出限界が0.475 μMということで、アメリカの水道水の基準値(65 μM)よりも2桁くらい小さい。水道水程度でも十分センシングできる。
細胞イメージングもできるんだって。

 

Chem Commun. 2016, 52, 1278-1281.

pubs.rsc.org

フォトクロミズムを起こす分子の中でも戻りの反応が熱で進行するタイプ(T型)と光で進行するタイプ(P型)というのがあるけど、今回は溶媒によってT型かP型かというのが変わる9-置換ジピリノン誘導体を作ったよというお話。

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ちなみにジピリノン自体はT型フォトクロミック化合物なんだとか。
9-位(ピロリノンじゃなくてピロールのα-位)に電子供与性基を導入することで変換後のE体の安定化を図っているのだとか。

異性体への変換はNMRとUVで観察していて、この誘導体はクロロホルム中ではT型、すなわち熱でZ-体に戻り、メタノール中ではP型、280 nmの光でZ-体に戻るんだって。

溶媒によって戻りの反応が変わるというのがこの論文のミソだと思うんだけど、発表した学生さんはその点についてはゴニョゴニョ言ってわけわからんかったので、自分で読んで追記します。

以上、参考までに。(20160725)