やにうさぎの雑記帳~140字じゃ語れない~

某呟きSNSには入りきらない思いやなんかを書いています。

アカデミックよ、さようなら。

タイトルの通り、この春、僕はポスドクを辞めて小さな会社に転職します。

俗に言う「退職エントリ」というやつでしょうけれども、大それたことを書くつもりもなく、ただ徒然と思ったことを書いていきます。

この2年間、色々ありました。決していいことばかりではありませんでした。能力も足りなかったし、心身ともに限界を迎えてしまいました。

現に、今はもう燃えカス同然で、残務整理もノロノロとやっている状態です。

 

それでも、ここまで頑張れたことは誇りたいと思います。
日頃から「プロとはなんたるや」ということに一家言のある人たちからは「仕事なんだから当たり前だろ、甘ったれんな」と怒られるかもしれません。
なんと言われようと、ここまでなんとか持ちこたえた自分を褒めてあげたいと思います。

 

潰れて使い物にならなくなる前に別のステージに進むことができたのは、博士課程時代に潰れてしんどい思いをして得た教訓を活かせた結果だったのかな、と自分の成長を素直に喜んでいます。破滅的で自棄っぱちな生き方はしなくなりました。

 

「朝晩関係なく仕事に関するメールやLINEがひっきりなしにくる」というのは、正直タフな経験でした。「プライベートと仕事を『ある程度』分けないと心身ともにおかしくなるんだ」ということに気付けたのでよかったです。ただ、心身に不調をきたした上に、それを延々と咎められ続けるという高い授業料を払いましたが。。。

研究を稼業としている以上、仕事とプライベートの境が曖昧になるのは仕方のないことだと理解しています。その方がむしろやりやすい、というのは僕自身も感じるところです。

しかしながら、休んでいる時に(仕事に関するものでなくても)関係者から連絡がくるというのは、精神衛生上(特に心の調子が良くないときには)あまりいいものではないということに気付くこともできました。何度も対応しているとそのうちお礼も言われなくなり、さも当然かのように振る舞われたり、ひどい時には返信が遅いと言われることもありました。

 

辛いことばかりでしたが、それでも良いこともありました。
自分の新しい能力に気付くことができたのは、この2年間での最も大きな収穫でした。これのおかげで僕は転職先を見つけられたようなものです。
僕の知らなかった僕自身の新たな一面に気付かせてくれた、とある方には本当に感謝しています。

これに気付かなければ、僕は「自分は何もできない無能なんだ」と自暴自棄になってしまい、みんな大好き自己責任論の下で自分を潰していたことでしょう。破滅的で自棄っぱちな生き方を変えるきっかけになりました。

 

自分の能力にここまで自信を持つことができたのは、生まれてこの方初めてだと思います。自分の人生(たかだか30年ぽっちですが)を省みた時に、真っ先に思い当たるのが「できて当然」という言葉でした。
何かを成し遂げれば「できて当然」と言われ、何かミスをすれば「それみたことか、お前は無能なんだ」「どうしてできないんだ(周りの人間は簡単にできているのに)」と袋叩きにされる記憶ばかりが蘇ってきます。
いつからか(おそらく中学に上がる頃から)、自己卑下に走ることで予防線を引いて自分を守ろうとしていました。端から見れば不愉快なくらいに卑屈な人間のできあがりです。
(「これではいけない」と気付けて、なんとかしようと能動的に動き出しただけでも成長したなと思います)
そういう行動様式ともいよいよお別れする時がきたのだと思います。

 

「自信を持つ」というのは、根拠のない自信という名の傲慢さで人を威圧したり、何かの旗の下、自分の物差しを他人に押し付けたりすることではありません。
臆せず自分の軸を持ち、周りに流れされることなく、飄々と、淡々と為すべきことに取り組む姿勢こそが自信というものだと思うのです。
「いつも視野を広く持つこと」、「全てを(良い意味で)疑って考えよ」、「周りに流されず、自分の軸を持て」は物心ついたときから一貫して自分に課してきたことでしたが、ここ数年は「XXであれば~でなければならない」という言動に振り回されていたのです。完全にぶれまくりの流されまくりだったと大いに反省しています。

 

 

思ったことを好き勝手に書いていたら長くなってしまいました。
アカデミックな環境からは離れてしまいますが、名残惜しさはなくて不思議なくらいさっぱりとしています。
研究は大学だけでしかできないわけではないですし、研究と一口に言っても、いろんな形があるというのを見たからかもしれません。自分の中で「今後は研究というものとはこういう風に接していこう」というビジョンがあるからかもしれません。

 

 

春からは、また一兵卒として新人研修を受けるところからスタートします。

それでも、給料は今より少しばかり増えるので、ちょっと嬉しいです。

 

 

 

 

駄文にお付き合いいただきありがとうございました。

 

出会いと別れの季節、皆様にも幸せな春が訪れますように。